“ヘルプ”と“サポート”の違いについて
今日はヘルプとサポートの違いについて
少し触れていきたいと思います。
まず、はじめに、中国の諺に
『ある人に魚を一匹与えれば、その人は一日食える。
魚の取り方を教えれば、その人は一生を通して食える。』
中国の諺
というのがあります。
この意味の違いは解かりますでしょうか!?
これは何を意味しているかといいますと、
前者は“ヘルプ”、後者は“サポート”になります。
たとえば発展途上国にお金を援助しました。
でも、そのお金が無くなれば、
どうなるでしょう?
またお金を援助してください、となって
ヘルプはエンドレスに陥りやすいです。
でも、その国にどんな産業が
新たに発展すれば自立することができるかを考えて、
たとえば海に面しているので
魚の取り方を教えれば、
最初は時間も費用も労力もかかりますが、
その人が魚の取り方を覚えれば、
徐々に自分の手がかからなくなり、
相手も自立していきます。
これがサポートになります。
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たとえば子育ても、
ネイティブ・アメリカン子育ての四訓を例にすると
『一、乳児はしっかり肌を離すな。
一、幼児は肌を離せ手を離すな。
一、少年は手を離せ目を離すな。
一、青年は目を離せ心を離すな。』
ネイティブ・アメリカン子育ての四訓
これも子どもが大人になっていく過程で
徐々に自律していけるようにするための
親が心がける姿勢ともいえるでしょう。
さて、2008年に起きた
秋葉原通り魔事件、
被告の死刑が先日確定しましたが、
被告が「お母さんが宿題を手伝っていたときは
学校の成績も良かったけど、
宿題(授業)のレベルにお母さんの頭が追いつけなくなったときから
学校の成績も落ちた」
こんなニュアンスの言葉を言っていたと
記憶しています。
たぶん、この被告のお母さんはサポートではなくて、
ヘルプをしてしまったのでしょう。
ここで、日本の歌人で、
『サラダ記念日』でも有名な俵万智氏がツイッターで
2012年11月20日にこういうつぶやきをしていました。
「1000メートル走では、校庭を5周します。
1周は、何メートルでしょうか?」この問題に手間どる息子。
ためしに「1000円を五人で分けました。
一人いくらでしょうか?」と聞いたら
「200円!」と即答した。
※2012年11月20日、俵万智氏のツイートより引用させていただきました
俵万智氏の息子さんは
本来は問題を解く力はあったのですが、
シチュエーションが違っていたことで
問題を難しく考えていたため解けませんでした。
でも、シチュエーションは違っても
計算の仕方は一緒というのを息子さんは理解したので、
いずれは俵万智氏がヒントを与えなくても
息子さんはこのケースの問題を解くことができてくるでしょう。
ですから、秋葉原通り魔事件の被告のお母さんも、
息子さんが宿題に手間取っていた。
でも、たとえば小学校1年生に
小学校3年生レベルのようなレベルの違う宿題なんて
普通出しませんよね!?
宿題は学校で習ったことの復習などで
出したりしているわけですから、
「今日、学校(この教科)でどんなこと習ったの?」と
リマインドさせてあげたり、
学習した内容が思い出せなかったら、
「ノートを見せて」とノートを見て、
先生が黒板に書いたことや
口頭でも重要なことを言っていたのに
書いていなければ、
「思い出せないんだったら、ちゃんとノートにとらないと」と
サポートしてあげることが大切だったと思うのですが、
被告が「お母さんが宿題を手伝っていたときは・・・」と言っていますが、
たぶんお母さんはサポートではなくて
ヘルプをしてしまったのでしょう。
それが『人間は苦痛を避け、快楽に向かう習性』がありますから、
息子さんはお母さんの過保護で
“楽”を覚えてしまったため、
自分の頭で解く努力を失わせて
しまったのかもしれません。
ですから、いま、
宿題代行サービスなどを使っている親もいるようですが、
目先の結果(成績)に捉われすぎて、
それが将来の子どもの自律につながっているか?
少し考えてみてはいかがでしょうか!?
今度は昨年(2014年)3月31日の
フジテレビ系列で放送されているノンストップの番組内で
息子の小学校で宿泊体験があったのですが
包丁や火を使うのが危険。おいしく作れる班と
失敗する班があるとよくない。こういうクレームがあり、カレー作りが禁止になり、
全員レトルトカレーを持参することになった。※2014年3月31日のフジテレビ系列で放送された
『ノンストップ』の番組内で扱われた内容
という話が取り上げられていましたが、
たとえば出来上がったカレーを味比べすると違いが出てきます。
そうしたら、美味しいカレーを作った班に
どういう手順で作ったかを発表してもらいます。
そうすると出来なかった班は
その発表を聴いているうちに
「うちら、ここであれを入れなかったからだ」、
だから味に違いが出てきてしまったんだ!と気づければ、
今後は美味しいカレーに近づけるわけですし、
人間は向上心があったり、
人から褒められたいと思ったりしますから、
今度はもっと予習してこようという動機づけになったりします。
『教えるのは「答え」そのものではなく、
「答え」を追求するおもしろさ。』と語ったのは
伝説の国語教師、橋本武氏(※1)。
その「答え」を追求するおもしろさを奪っているのが
親の過保護によるクレームだったりしませんか!?
それと包丁や火を使うのは危険といいますが、
いずれは日常生活で使っていくわけですから、
正しい使い方を教える(サポートする)のも教育ではないでしょうか!?
『高校生から教育の名の下に
バイクを取り上げるのではなく、
バイクに乗る際のルールや危険性を
十分に教えていくのが学校教育ではないのか』という言葉を残したのは
本田宗一郎氏。
『酒に害はない。 泥酔する人に罪がある。』という名言を残したのは
フランクリン氏。
さて、最近では
『生徒との「LINEやメール禁止」 埼玉県、高校教諭に通知』という
ニュースもありました⇒こちら
(LINEはネット上で、ある疑惑で問題視している人もいますが、
ここではその件は脇に置いてお読みくださいませ。)
LINEやメールそのものに問題があるというより、
生徒や先生にLINEやメールの適度な使用方法を教えるのが
真の学校教育ではないでしょうか!?
『ほんとうに人を愛するということは、
その人が一人でいても生きていけるように
してあげることだ。』
という言葉は三浦綾子氏の
「道ありき」に出てくる言葉だそうですが、
私も同感です。
先日のNOTEで
永六輔氏が清水ミチコ氏を陰から支援した
お話もシェアしました⇒こちら
これを読んでも分かるように
最初は手間暇かかるのですが、
徐々に自分の手がかからなくなり、
相手も自律していき、
お互い負担がかからない
大人同士の関係になっていく、
こういうアプローチが大切です。
それにもし仮に永六輔氏が清水ミチコ氏に付きっきりになっていたら、
もっと他にも有望な人がいて育てたいと永六輔氏が思っても
育てられないわけですし・・・。
ただ、人を育てるのにヘルプよりもサポートが大切ということを
今まで書いてきましたが、
僕もいろいろと人財育成に取り組んできたのですが
どうしても自立できない人も実際にはいて、
そういう人は最終的に助けていくしかないな~という
考え方で私はいます。
それと、こういうヘルプよりもサポートが大切と書くと、
極端に捉える人がいて、
たとえば小学校低学年の子が池に落ちて溺れていたとします。
それを見て「坊や、泳げないのか?
じゃぁ、泳ぎ方は・・・」などと
陸からサポートしようとしたら
子どもは溺れて死んじゃうわけですから、
そこはヘルプですぐに助けないと!
ですから、そこら辺はTPOに合わせて、
ヘルプとサポートを上手く切り分けていくことが、
大切になってくるでしょう。
最後になってきますが、余談で、
「答え」を追求するおもしろさを奪っているのが
親の過保護によるクレームだったりすることは
先ほども書きましたが、
ここで、TBS系列で放送されていた
『内村とザワつく夜』の
2014年3月4日の放送で
須藤理彩氏が体験した
恐怖のチョコパンママというのがあります。
(子どもが)幼稚園の時、パン給食だった。
その時にステックタイプの
チョコチップが入っているパンが出た時があって、その時に「お昼にチョコレートを出すとは何事だ!」という
クレームを入れたママがいて、
その子だけ先生がチョコを全部取ってあげていた。で、しばらく経ってから、娘から
「最近チョコパンが出ない」と言って、
うちはすごく好きだったので、
先生はビクビクしていると思いますよ、
何で言われるかわかんないから・・・。※2014年3月4日のTBS系列で放送された
『内村とザワつく夜』の番組内で扱われた内容
先ほど挙げた小学校での宿泊体験の件や、
このケースでもそうですが
モンスターペアレントの問題は
どんどん酷くなってきている中で、
教える側もプリンシプルを持っていない人が多いから
言い負けしちゃうのでしたら、
各都道府県単位の教育機関には
顧問弁護士を雇って
教育する側を守ってあげるヘルプはしないと、
教育者の心が病んだり、
教育者が生徒に「答え」を追求するおもしろさを考える時間を
作り出すのもなかなかできないのかもしれません。
今日は少しですが
ヘルプとサポートの違いについて
触れながら書いてみました。
※1)橋本武氏のエピソードについては
過去のブログでも若干挙げていますので
よろしければどうぞ⇒こちら
※この内容は2015/02/10 19:07に
私がNOTEでアップした記事を再編集して
こちらにもアップした後にNOTEの方は削除させて頂きました。
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