杉村太蔵氏が衆議院議員を1期務めた後、

とあるバラエティー番組に出演していたときの話です。

(何のバラエティー番組だったかは失念してしまいましたが…)

そのときに杉村太蔵氏が

「今度(選挙に)立候補するときは

“北海道に大相撲”を公約にして立候補するつもり」と発言していたら、

同席していたやくみつる氏に

『それは無理』と秒殺されてしまいました。

 

「えっ!?なんで?」と

杉村太蔵氏の目がキョトン(@_@)としていたら、

やくみつる氏が『北海道はお寺が少ないから…』と

理由を述べていたシーンは

僕にはとても印象に残った場面でした。

 

こんな調子で実現プランを持っていないのに、

軽く公約を打ち出す立候補者たちを見てきた日本人は、

たとえばバラク・オバマ氏が大統領時代に

『2016年までに製造業で

100万人の雇用を創出』する政策を打ち出しても、

どうせしっかりとした実現プランを持っていない戯言と

受け取った人もいたでしょう。

広告

ところが、2012年11月19日にテレビ東京で放送された

日経スペシャル 未来世紀ジパング

池上彰の”強いアメリカ、弱いアメリカ” 第二弾 メードインUSAが奇跡の復活!?』の番組内で、

中国から工場をアメリカに戻したピアレス社を例にして

紹介していたのは、


(写真:テレビ東京から)

材料費が1ドルとして、

アメリカで作れば人件費は12ドル、

その一方で中国で作れば2.5ドルで済みますが、

中国の人件費は上がっていく一方なので

2015年には4.5ドルに上がると予想されていること。

さらにこのピアレス社はクオリティには

徹底的にこだわってきたのですが、

中国では手順を踏んだ品質チェックが出来ていなかったため

中国の工場で作ると不良品率が10%となったり、

製造方法が盗まれて偽物の被害が出て模造品が出回ったり、

そういうリスクもコスト換算としたり、

更には


(写真:テレビ東京から)

管理費、輸送費、関税などもコストに入れると


(写真:テレビ東京から)

材料費1ドルに対して、

中国なら1.32ドル、

アメリカでは1.4ドルと、

これだけ差が縮まるのならと、

ピアレス社を始め、

GE社、フォード社、マスターロック社、

キャタピラー社、エレメント・エレクトロニクス社など

アメリカ企業の国内回帰が起きて、

製造業での雇用が増えてきている話が紹介されていました。

 

というように、

海外はしっかりとした結果を出さないと

評価されないのでしょう。

 

では、日本の場合はどうでしょうか?

 

厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正問題や、

2017年2月17日に安倍総理が

「私や妻が関係していたなら首相も議員も辞める」と

答弁したのを機に財務省・理財局が

記録や文書の改竄が始まった森友疑惑などの報道を見る度に、

私は今の日本の官僚はアイヒマンと一緒だ!と

痛烈に批判したくなってきました。

考えることは、強くなること。

昨年、日本で公開された劇映画『ハンナ・アーレント』。

 

ハイデガーに師事する優れた哲学者でありながら、

ドイツ系ユダヤ人であったがためにナチス台頭により

アメリカへの亡命を余儀なくされたアーレントは、

戦後、ナチスの戦犯アイヒマンの裁判を傍聴します。

 

「自分は命令に従っただけ」という

アイヒマンの弁明を聞いたアーレントは、

彼は「凶暴な怪物」ではなく

「凡庸な人間」にすぎないという論考を発表、

ナチス擁護ではないかと激しい非難を浴びます。

 

それでもアーレントは、

「アイヒマンは考えることをやめた。

考えることをやめた人間は人間でなくなる。

私は人間が考えることで強くなることを望む」という信念を

語り続けました。

 

考えることは、

時に社会の空気や通念に抗うことでもあります。

 

「危機的状況にあっても、

考え抜くことで破滅に至らぬように」という

アーレントの言葉は、

まるで現在の世界に対する警鐘のように

聞こえないでしょうか。

 

新潮選書は「考えるヒント」が並ぶ

本棚でありたいと思っています。

 

※『新潮選書 フェア2014』フリーペーパーより引用

このように人間は考えることで強くなるのであって、

今の日本の官僚は考えることを止めたアイヒマンと同じように

善悪の判断もできない、

アーレント氏の言葉を借りれば、

考えることをやめた人間は人間でないのです。

 

日本の官僚がこれからも考えることを止め、

善悪の判断も出来ない人間に成り下がるのでしたら、

皮肉を込めて、

日本の官僚はアイヒマンと一緒だ!と私は叫びたいのです。

広告

広告