テニスの国別対抗戦フェドカップが

2月の7,8日行われたようです。

 

日本はスペインと対戦し、

2日目に急遽出場した奈良くるみ選手は、

試合後の談話で

『普段、私がやりたいプレーを

(相手に)先に展開されてしまった』との

コメントを残しています。

 

実際に私は試合を見たわけではありませんが、

触れておきたいお話があります。

(前略)

テニスというスポーツで

最も短期間に最大の進歩を遂げるためには、

各試合ごと、

自分に有利な試合展開をするための手段(チャンス)を

十分に理解して、

それを実行する(チャンスを生かす)ことだ。

 

チャンスには大きいものと

小さいものがある。

 

特に、無知、

あるいは怠慢なプレーヤーは

小さなチャンスを見逃すことが多いので、

注意するべきである。

 

(中略)

 

プロ1年生のわたしが、

最初の教訓として学んだのは

“試合が始まる前に

相手より優位に立たなければいけない”

ということだった。

 

世界のトッププレーヤーにとって、

試合はファーストポイントの

サーブが打たれるよりずっと前から

始まっていたのである。

 

彼らは準備万端で試合に臨み、

すばやくわたしののどもとに

つかみかかってきた。

 

いきなり完ぺきな先制攻撃を受けたわたしは、

いとも簡単にポイントを奪われ、

そればかりかあたふたと

浮き足だっている間に

欠点をさらけだしてしまうのである。

 

(中略)

 

トッププレーヤーは

新米プロのわたしのことを

おいしいランチだと思っていたようだ。

 

豪華ディナーまでいかない。

お手軽ランチである。

 

わたしが相手だとわかた時点から、

彼らは最初の一口を

どうやって食べてやろうかと

ずっと考えていたのだ。

 

おいしいランチを食べるためにも、

腹減らしに4~5ゲーム

遊んでくれてもよさそうなものだが、

とんでもない!

 

彼らは腹ぺこ状態で

コートにやってくるやいなや、

いきなりメインコースの

“ギルバートの丸焼き”を

平らげようとするのである。

 

自分のリズムも、

ゲームプランも、

試合の流れをつかむ方法も

知らないうえに、

なおかつ最初の数ゲームを

サービスブレイクされてしまうのだから、

わたしに勝ち目がないのは当然である。

 

わたしは賢い先輩プレーヤーたちに、

いつもこてんぱんにやられてしまった。

 

ウォーミングアップは試合前日から始まっている

わたしが周囲を見回し、

人の意見を聞き、

そして負けることによって発見したことは

簡単なことだった。

 

賞金を稼いでいる先輩プレーヤーたちは

標的(例えばわたし)に対し

試合が始まるずっと前から

ライフル銃の照準を合わせ始めていたのだ。

 

試合が始まったら、

彼らは引き金を引くだけでよかったのである。

 

賢いプレーヤーは

対戦相手がわかったら

すぐに意識的、あるいは潜在意識的に

その相手についての情報収集を開始する。

 

自分が蓄えた情報を復習し、

必要なら新たな情報を入手する。

 

彼らはできるだけ早く

相手より優位に立つことを常に考えていた。

 

勝つための情報量が多いほど

(あるいは少ない情報でも

その内容が確実なものであるほど)

テニスプレーヤーは

相手より優位になる。

 

そして、十分な情報を獲得し、

相手より優位にあれば、

プレーヤーは精神的にも落ち着いた状態で

試合に臨むことができるのである。

 

(中略)

 

ウォーミングアップは、

まず考えることから始まる。

 

そして人間の心は

いちばん最後に活性化される

(最後まで活性化されない人だっている)。

 

戦略を考えて、

有効な戦略が見つかって、

そこで初めて人間は安心し、

試合に対する心の準備が整うのである。

 

だから、コートに入ってから

心の準備をしようというのは

無理な話なのである。

 

(中略)

 

わたしに言わせれば

頭を使わないのは

非常にもったいないことなのだが、

残念ながら、

いや、喜ぶべきことに

テニスプレーヤーには

頭を使っていない人間が実に多い。

 

(後略)

※『ウイニング・アグリー 読めばテニスが強くなる』より引用

奈良くるみ選手はこの試合

2連続のサービスブレイクを許し

0-3というスタートとなった。

 

自分がやりたいテニスを

相手に先に展開されて、

後手に回った。

 

相手がどういうテニスをしてくるか

様子見から入ろうとしなかっただろうか?

 

それともファーストポイントから

全力で勝負に行っての結果だったのか?

 

序盤少し硬くなって

良いパフォーマンスから始まらなかったのは

なぜなのか?

 

考えなければ

また同じ現象がいつか起きてしまうでしょう。

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