アルガルベカップ2018へ出場している
なでしこジャパン!
初戦となったオランダ戦では
2対6の敗戦という残念な結果となってしまいました。
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さて、この試合を振り返った
熊谷紗希選手のコメントを拾ってみました。
(前略)
初戦の6失点という大敗は否応なしに、
なでしこたちを岐路に立たせた。
ピッチに立っていた選手だけでなく、
もちろんベンチから惨劇を見ているしかなかったこの2人も同様だ。
「これが現実。決して手を抜いてるわけじゃないし、
一生懸命やってない人なんていない。
ただ……言われたことだけやって、
結局指示を元に判断していると(世界相手だと)ああなるんです」と
悲痛な面持ちで話していたのは熊谷。
(後略)
※web Sportiva『6失点惨敗で「なでしこ崩壊の危機」に、ベテラン2人が立ち上がった』
(text by 早草紀子氏)より引用。原文は⇒こちら
僕は6失点惨敗について触れたいわけではありません。
では、どこが問題なのかと言いますと、
以前、なでしこジャパンの監督が
佐々木則夫氏のときに、
「スタンドの声援が大き過ぎて
監督(ベンチ)の指示が選手に届かなかった」という
試合後の談話をしたことがあります。
(私の記録室を探れば
年月日と大会名、対戦相手まで書けるのですが、
いまは時間がないので省略します)
では、ここで
イビチャ・オシム氏が過去に
取り組んできたことを紹介しましょう。
オシム監督の手腕と評判と私生活 連載③
オシム日本代表監督の指導法は
「考えながら走れ」がキーワードである。03年にジェフ千葉の監督に就任すると、
さっそく秀逸な「語録」を残した。「レーニンは『勉強して、勉強して、勉強して』と言った。
私は選手に『走って、走って、走って』と言っている」
(木村元彦著『オシムの言葉』(集英社インターナショナル刊から)来日後、連日午前、午後の2部練習を課し、
ひたすら走らせた。選手の間からは
「スパルタ練習でオレたちをぶっ壊す気か」という
不満が上がった。もっとも、「ただ走ればいい」という
生易しいモノではなかった。あくまで「考えながら走れ」――だった。
94年からオーストリアの
シュトナム・グラーツでオシム監督の下、
コーチを務めたペドロビッチ広島監督が解説する。「ただ走り回るだけではなく、
何よりも“考えながら走る”ことを
オシムは要求する。
さらに大事なことがある。
チームが“同じことを考えながら”走ることです」さらにペドロビッチは
「先の先を読んでプレーする」のが大事と言う。「次のプレーどころではない。
常に“次の次の動き、
3人目の動きを読みながらプレーする”ことが
求められる。ボールを持った選手が誰にパスを出すか、
ではなくて、
“次の次のパスをどうやったら受けられるか”を
考えさせられる。選手全員が同じ考えを持てば、
ダイレクトパスがつながり、
素早い展開が生まれる」オシムは練習場で「トゥルチ」を連発する。
クロアチア語で「走れ」という意味だ。
さらにハードな練習と同時に
「3人目の動きを読む」ための鍛錬として
「色とりどりのビブス(練習時に使用するベスト)」を使う。ある日の練習で3色のビブスが用意された。
「赤→青→黄の順でボールを回せ」と
オシムが指示を飛ばす。ピッチに千葉の選手が入り乱れている。
赤のビブスの選手が、
ボールをキープしながら青のビブスの選手を探す。
黄のビブスの選手は先の先を読みながら、
ラクにボールをもらえる位置を予見して走る。当然、いい位置取りのためには、
ハードな運動量が必要となる。某選手は「オシムは最大で8色のビブスを使った」と話し、
オシムの意図通りに動けるようになるには
「1年以上はかかった」と振り返る。ある選手は「体の疲労よりも、
頭が疲れてしょうがない」と語る。日本代表はクラブチームと違い、
「毎日付きっきりで練習する」ことができない。大会、試合に応じて数日間の合宿を行い、
それで戦術練習をこなさなければならない。千葉でやっていたことが代表チームで出来るのか、
という不安もオシムには付きまとう。だが、90分間走ることすらできなかった
ジーコ時代よりも、日本代表が
強化されることは間違いない。
(つづく)※日刊ゲンダイ2006年7月27日号より引用
このトレーニングの目的の1つは、
監督の頭で考えていることと、
選手の頭で考えることを
一致させるためにしたトレーニング。
さて、ここまで書いて
私は何が言いたいかと申しますと、
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以前、なでしこジャパンの監督が
佐々木則夫氏のときに、
「スタンドの声援が大き過ぎて
監督(ベンチ)の指示が届かなかった」という
試合後の談話をした試合後の分析で、
イビチャ・オシム氏のように
監督の頭で考えていることと、
選手の頭で考えることを
一致させる必要があると課題を認識し、
努力を続けていれば、
今回の試合での指示を元に判断するというタイムラグは
防げたのではないでしょうか!?
私は以前、『原因追究、分析能力が劣る日本』という
ブログを書きました⇒こちら
何が問題か、何が課題かを見つけられなければ、
答えも見つからないということになります。
それと私は『失敗には2つの種類がある。
しかし日本の指導者のほとんどがそれを理解していない。』という
ブログも書いたことがあります⇒こちら
さて、今回のなでしこジャパンは、
許していい失敗か、認めてはいけない失敗かと言いますと、
私は認めてはいけない失敗に属します。
それはイビチャ・オシム氏のように
監督の頭で考えていることと、
選手の頭で考えることを
一致させる努力を
なでしこジャパンは怠ってきたからです。
だからインターバルを感じない
(ある一面では成長を感じない)、
同じ失敗の景色を見せられることになっているからです。
そして私は「私が感じる『大きな大会へ向けた理想の準備』」という
ブログも書きました⇒こちら
この中で、準備の質に違いがあることを
指摘しています。
世界のトップ、世界の優秀な指導者が
どういうトレーニングや準備をしているか
(もちろん全てが正しいトレーニングや
準備をしているとは限りませんが…)
もっと研究を深め、
課題を克服していかないと
世界には勝てないということだけは
今回書いておきたいと思います。
《2018年3月26日追記》
イビチャ・オシム氏は
ディシプリン(discipline)を大切にし
(ディシプリンとはサッカーの世界では簡単に書くと、
チーム全体の「共通理解」や「約束事」という意味)、
そして、それ以外の部分は自由が与えられるから
創造性が生まれるわけですし、
またディシプリンは設定するが、
そこから逸脱しない選手は叱咤されたりもしました。
で、コーチングの3原則の1つには、
テーラーメイドがあり、
要するに個別対応なわけです。
そして今回このブログを書いたのも、
このケースでは
こういう話をしたらどうだろうか?と思って
書いたわけですから、
読み手はケースバイケースで読んでもらわないといけない場面もあります。
たとえば日本男子サッカー現代表監督のハリルホジッチ氏は
現在の日本代表監督には私は適していないと
1月の時点でブログにも書きましたし⇒こちら
それ以前にもツイッターで書いてきたはずです。
だから選手が付いていく価値のある監督ならば
監督の頭の中で考えていることと
選手の頭の中で考えることを一致させることは
効果を生む可能性があり、
逆に付いていく価値のない監督に合わせたら
大変な目に遭う可能性もあるということですね…。
『コンパスは方向は教えてくれるが、
川や谷の避け方は教えてくれない。
コンパスばかり見ていると
川や谷に落ちてしまう。
自分で考えて判断しなければ。』
(小野田寛郎)
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