平昌オリンピックが始まり、

各選手、各競技、連日、

白熱の戦いが行われています。

 

さて、そんな時期だからこそ

『大きな大会へ向けた理想の準備』というタイトルで

今日は書いてみたいと思います。

 

長年、日本のオリンピック選手を見てきて

私が「理想と思う準備をした選手を挙げろ」と言われたら、

私は2000年シドニー・オリンピックの

高橋尚子選手を挙げたいと思うのです。

 

高橋尚子選手はレースの前日、

当時指導者だった小出監督に

彼女はこのような手紙を書いています。

「本当に、ここまでありがとうございました。

 

私は今まで、ほかに何も考えず、

まわりを気にせずに、

オリンピックのことだけを夢見て、

走り続けてきました。

 

それだけ夢中になれるものが、

私にあるということがうれしくて、

これまでの毎日は、楽しいものでした。

この大切な時間を、

監督といっしょにすごさせてもらって、

感謝の気持ちでいっぱいです。

 

私のように、こんな弱い選手を、

あきらめずに教えてくださって、

ありがとうございました。

 

明日はどうなるか、

まだわかりません。

 

でも、今までやってきたことを、

すべて出しきります。

 

いちばん最後に、

思いきってやりました、と言って、

みんなと抱き合えるような、

私らしいレースをしたいと思います。

 

監督、本当にありがとうございました。

 

※『スポーツのニューヒロイン〈4〉高橋尚子物語 (スポーツのニューヒロイン (4))』より引用

高橋尚子選手は、

1日80kmは走り、

練習は世界一やったという自負があり、

誰にも負けない努力をしたからこそ、

この澄んだ気持ちで手紙を書けたのだと思います。

 

こういうことを書くと、

日本人アスリートはすぐに

そんなの僕にも書けますよとか、

準備は万全ですとか、

できますできます病が起きるのですが(笑)

 

では、たとえばですが


(写真:村主章枝氏ツイッターより)

このスクショは

村主章枝氏のツイッターからですが、

このメンションは確か

あの中(心境)で最高のパフォーマンスを出す秘訣を問われ、

村主章枝氏が答えた内容だったと記憶しております。

 

『人事尽くして天命を待つ』

 

なるほど~、格好良いですね!

 

では、バンクーバー・オリンピックのとき、

SPとフリーの合間に

時差も加わったので日本では

日中のワイドショーが

どうしたらキム・ヨナ選手を

浅田真央選手が抜けるかで盛り上がりました。

 

そして、ある番組で

惜しくもバンクーバー・オリンピック出場を逃した村主章枝氏が

ゲスト解説として出演されました。

また他のゲスト陣には

確かISUテクニカルスペシャリストの岡崎真氏も

ゲスト解説に加わっていたと思います。

 

そして、浅田真央選手が跳んだシーンが映り、

村主章枝氏が「これは加点ですね」と言ったときに、

岡崎真氏が『僕は逆に減点で…』と言ったシーンがありました。

 

このときに愕然としたのは、

バンクーバー・オリンピックへ向けて、

キム・ヨナ選手は当時のコーチ、

ブライアン・オーサー氏の地元カナダで

練習していたのですが、

毎週自国出身のISUテクニカルスペシャリストを練習会場に呼んで、

今のジャンプは加点なのか、減点なのか、

ISUテクニカルスペシャリストの目線と

選手、コーチの得点感覚の目線が同じになるよう

準備を積みました。
(一応書いておきますがこの準備はルールの範囲内で行われています)

 

その報道を知ったときには

金メダルを獲るには

ここまでやるか(ここまで準備をするか)と勉強になったのと同時に、

村主章枝氏はトリノ(2006)のときと違って

バンクーバー(2010)のときは金欠だったのを

先日の『しくじり先生』で語っていたとは言え、

ブライアン・オーサー氏、キム・ヨナ選手が

ジャッジする側と選手、コーチの得点感覚を合わせる準備までしたのを知ると、

ワイドショーで減点、加点の得点感覚が

ジャッジする側と違っていたのを露呈した村主章枝氏とでは、

準備の質が全然違うことに驚かされたのです。

 

今オリンピックでも、

フィギュアスケート団体戦で

宮原知子選手の得点が出たときに、

得点の低さに日本選手は声を失いましたが、
(ジャッジと選手、コーチの得点感覚が合っていれば
あそこまで声を失い落胆しないと私は感じたので)

8年前にブライアン・オーサー氏が取り組んだ準備まで

追いつけていないような感じも

私はしました。

(ジャッジを練習会場に呼んでいいかのルールが

8年前と今ではどうなっているかは知りませんが…)

 

さて、ここで6年前の北島康介選手を扱った記事ですが

(前略)

米国の代表選手会は6月末とこれから。

 

米国で一緒に練習している選手たちの

練習内容は厳しくなってきたが、

雰囲気は変わらないという。

 

「全然ピリピリしないんだよね。

日本は周囲がピリピリしてきて、

それが選手に伝染してくる。

 

米国では、

やることをやって結果を出すという意識が

根底にあるから、

みんなリラックスできている印象を受ける」

(後略)

(阿久津篤史)

※朝日新聞2012年6月1日紙面より引用

この記事にも書かれていますが、

アメリカはやることをやって結果を出す意識が根底にあるとのことですが

日本とアメリカでは、

準備の質に違いがあるようにも私は感じているのです。

 

Most people do not pray; they only beg.

(George Bernard Shaw)

神に祈る人間などほとんどいない。ただ物乞いをしているだけだ。

(ジョージ・バーナード・ショー)

これはバーナード・ショー氏の名言でありますが、

私は以前、ソチ・オリンピックの

羽生結弦選手の金メダルは

“銀メダルに近い金メダル”と述べたことがありまして、

もしその言葉が羽生結弦選手まで届いてしまっていたら、

彼のプライドを傷つけてしまったのかもしれません。

 

ただ、ソチ・オリンピックのフリーで、

彼がリンクに降りてから演技開始までの表情を見ると、

やるべきことはやりました。神のご加護をと祈ったのか、

何とか金メダル獲らせてと神へ願ったのかというと、

金メダルを獲らせてと願っている心の様相を僕は感じました。

それに加え、当時の絶対王者パトリック・チャン選手が

メンタルの弱さを露呈したミスも加わって獲れた金メダルですから

これを金メダルの獲り方の良い見本としては

日本はメダル強豪国にはなれないという思いから

銀メダルに近い金メダルという表現を使ったのです。

 

私は現場の人なので

このように冷めた目で見るのですが、

マスメディアや国民のみなさんは

金メダルを獲ったことを

大喜びして騒いで良いと思うのです。

 

こういうことを書くと、

そういうことに気づけない俺たちは

(私から)見下されていると偏見を持つ人も

出てくるとは思いますが、

 

たとえば、セレブの人たちの豪華な暮らしを知らなければ

私たちはもっと幸せを感じれていたかもしれません。

 

また、絶対音感を持っている人は

海外に行った際、

絶対音感を持っていない私などは

ただ救急車のサイレンが鳴って通り過ぎたという場面で、

絶対音感を持っている人たちは

半オクターブ音が外れていたわ…など

必要のない場面でも音に敏感な状態で苦しんだりと

すべて物事を知っていれば幸せかというと

またそれは別の話だと思うのです。

 

だからスポーツを観戦して

熱中したい人は

かえって知らない方が興奮できますよ、という意味で

私は書いたのです。

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さて、たとえば、女子バレーボールで

一昨年リオデジャネイロ・オリンピック世界最終予選が行われた際、

日本女子は簡単にリオ五輪の出場権を得たわけではなくて、

結構苦しみながら何とか出場権獲得が出来たわけです。

 

で、僕は、もちろん試合にも注目するのですが、

試合と試合(大会と大会)の間の

インターバルでどういう準備をしたかを感じれるかにも

着目したりしています。

 

そして女子バレーは

リオ五輪の初戦韓国戦で、

木村沙織選手が審判の笛が鳴ったと同時にサーブしたりと

工夫を加えてきました。

ところが相手の韓国もそれにアジャストしてきました。

 

さぁ、次はどんな準備をしてきたのかな!?と

思って観ていたら、

『えっ!? もうノープラン!? もうノーアイデア!?』

 

これだけしか準備できないようでは

勝てないと思ったし、

それにも係わらず監督が報道陣や国民に対して

メダルを獲りに来たと言われ

実力以上のことを選手へ求められたら

それはプレッシャーになって

選手が緊張しちゃうのも当然だと僕は思うのです。

 

だから日本が金メダルを量産していくには

準備の質をかなり高める必要があると私は思うのです。

 

東京オリンピックまで、あと2年半ぐらいかな!?

 

こういうことを私が書くまで

気づけない日本が

本当に結果が出せるのか心配になっちゃう今日この頃です。

 

もう結構長く書いてきているので、

それでは最後に2つの名言を

『自分を言い訳の出来ない状態に持っていく』

(イチロー)

 

『神様や運だのを語っていいのは、

やれることを全部やった人間だけの特権だ』

(映画「ちはやふる」)

2000年シドニー・オリンピック

高橋尚子選手のように

事前準備を徹底的にやって

澄み切った状態で感謝の手紙を書けるような

心理状態まで多くの日本選手が

辿り着いて欲しい。


(写真:東京中日スポーツ2000年9月25日紙面より)

そして、このような

金メダル報道がたくさん出て

日本国民が喜ぶ姿をたくさんみたい。

 

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