日本人の特色の1つに

熟慮が好きという行動特性が

挙げられるでしょう。

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では、

勝間和代の人生を変える『法則』

人間は本来、現状を維持しようとする

―――心の慣性の法則

ニュートン力学で、私たちは

『慣性の法則』を習いました。

 

すなわち、何らかの形で

力が働かない限り、

静止しているものは

そのまま静止しているし、

ある速度で動いているものは

そのままの速度で動き続ける、

という法則です。

 

実は、私たちの行動や

意思決定においても、

慣性の法則が働いています。

 

このことは、行動心理学や行動経済学では

『現状維持バイアス』と呼んでいます。

 

私たちが、未知なるものや未体験のものは

なるべく受け入れようとせず、

現状のままであろうとする心理を

指しています。

 

例えば、今、契約しているものと

同じ保険内容で、

月々の保険料の支払いが

ほんの少し安い保険を見つけたとしても、

あえて今の保険を解約して、

あえて新しい保険に乗り換えようとする人は

まれです。

 

そのとき私たちはわざわざ、

変えたくない理由を

様々な角度から見つけようとします。

 

より大きな例ですと、

さまざまな国の制度改革を阻むものも、

この『現状維持バイアス』なのです。

 

変化を阻むものは

『スイッチングコスト』と

総称されます。

 

その根っこには

現状を維持したいという心があり、

裏側には「過去の自分の肯定」と

「将来の損失回避」が組み合わされた

複雑な心理が隠れています。

 

行動を変えることは、

過去の自分の行動を否定することになるため、

そこに大きな葛藤が生じます。

 

そのため、過去の自分を

肯定したくなるのです。

 

したがって、過去の強固な成功体験がある人ほど、

変えることにパワーが必要になります。

 

また、変化には不確実性が伴いますから、

何らかの形で損失が生じる可能性を

はらんでいます。

 

現状を維持した場合の損失は

おおむね想定できるものの、

変化した場合の損失は未知数なので、

私たちは変化を回避しようと思う傾向を

強めるのです。

 

しかし、現在は外部の

環境変化のペースが大変速く、

現状維持バイアスを働かせていると、

かえって損失につながることが多いのです。

 

過去については、

必要以上に成功体験にしがみつかないこと、

そして、将来についても過度に悲観せずに

リスクを冷静に比べることが、

私たちに上手な変化をもたらす鍵になります。

(経済評論家・公認会計士)

参考文献 友野典男著
「行動経済学ー経済は『感情』で動いている」(光文社新書)

※朝日新聞2011年1月8日紙面より引用

日本人は他国に比べても

熟慮の時間が長い国民性があると言えるでしょう。

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ですが、もし、自分が、

熟慮の先に現状維持しか選べない人であるならば、

その思考の取り方には

注意が必要かもしれません。

ディズニーランドはいつまでも未完成である。

現状維持では、後退するばかりである。

(ウォルト・ディズニー)

 

人間には進歩か退歩かのいずれかがあって、その中間はない。

現状維持と思うのは、実は退歩している証拠だ。

(森信三)

 

Change before you have to.

(変革せよ、変革を迫られる前に)

(ジャック・ウェルチ)

 

変わらないことが最も悪い

(奥田碩)

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