トッド・ハミルトン選手が語ったある言葉

以前、夕刊フジに戸張捷さんが書いた

『新・人間グリーン』という連載記事がありまして、

その24にトッド・ハミルトン選手が語ったある言葉が

載っていましたので引用し紹介したいと思います。

『私は、どんなツアーであっても
トーナメントで勝てるようになれば、
その経験は蓄積され、
いずれ大きなトーナメントで戦える力になると
信じていました。

たとえジュニアの大会でも、
勝ち方を覚えれば自信になり、
いずれ大きなトーナメントでも
戦えるようになるんです』

(トッド・ハミルトン)

(夕刊フジの記事より引用させていただきました)

では、指導者でも、選手でもいいのですが、

勝ち方を知っている、勝ち方を語れる日本人が

どのくらいいるのでしょうか?

 

私が見た感じでは、日本人では

ごくわずかな人しか存在しないような感じがします。

勝ち方を知っている人は…

勝ち方を覚えるようになっていくと、

無駄な要素が削ぎ落されていくので、

重要なコアな部分、核となる部分だけが

残っていく感じになっていくのです。

 

ここで1つの名言を紹介したいと思います。

幸福な家庭の顔はお互い似かよっているが、

不幸な家庭の顔はどれもこれも違っている。

(トルストイ)

 

この名言をなぜ紹介したかと言いますと、

この名言は応用が利いて、

勝ち方を知っている選手や指導者は

核となる部分が共通していて

とてもシンプルな戦い方になってくる。

(要するに無駄な要素が削ぎ落されていくからです)

たとえば野球で言うと、

森野球(森祇晶氏の野球)、落合野球(落合博満氏の野球)など…。

 

そして勝ち方を知らない選手の戦い方は、残念ながら、

みんなバラバラでそれぞれ違った戦い方、

再現性の低い戦い方となっているのです。

ところが人間というものは…

ところが人間というのは不思議な生き物で、

勝利を突き詰めて戦うと

とてもシンプルな戦い方になるので

見る側になると“変化”や“刺激”が少なくなり

『戦略が地味すぎて面白味がない』

『勝ちが見えていてつまらない』などの声が

出るようになってくるのです。

そして刺激や変化がある、味のある試合や

味のある選手を好んだりもします。

(私は勝ちを突き詰めていくと

シンプルな戦い方になることを理解しているので、

そういう不満な声や感情を出すことはありませんが…)

確かに変化が少ない、

刺激が足りないことが退屈になることは

私も理解はできますが、

勝利を突き詰めていくと

どういう戦い方になるのかも

理解はしていただきたいというのが私の本音です。

勝ち方を知らない例として…

丁度、昨年のこの時期に開催された

『Tポイントレディスゴルフトーナメント』という大会があって、

その大会では大江香織選手が優勝したのですが、

彼女は最終日の最終ホール(18番)を

「ボギーでもいい」と思って戦ったことを

試合後の談話で話していました。

 

これを聞いたときに、

私は再現性の低い勝利だったな…、と私は感じました。

勝ちに不思議の勝ちあり、

負けに不思議の負けなし

(松浦静山氏の剣術書『剣談』より)

この名言は野村克也氏によって

広く世間に知れ渡るようになりましたが、

正に昨年の大江香織選手の優勝は

自分が勝ち切ったというよりかは

相手が負けてしまったおかげで

勝ちが転がり込んだ感じ(不思議の勝ち)に私は捉えています。

 

なぜ私がそう言うかと言いますと、

彼女は最終日の18番ホールで

「ボギーでも良いと思った」

これはスコアボードを見て

ボギーでも優勝できると知っていたから出た発想ですが、

 

たとえば19番ホールまであったとすれば、

この18番ホールも

“しっかりスコアメイクしないと”という

ここまでスコアメイクできていた戦い方と

同じ戦い方になりますよね!?

 

そういう発想があれば、

あの18番ホールはパーで上がっていたかもしれませんし、

あの試合を観た方は知っていると思いますが、

ダブルボギーも有り得た試合で、

よくボギーで収まったな、というのが私の印象でした。

(私が以前、スコアボードの話を書きましたが、

スコアボードを見ても、見なくても私は別に構いませんが、

見ても、見なくても、“プレーの質”は変わらないことは

大切な意味で書いたこと)

 

だから私は彼女の試合後の談話を聞いて

再現性の低い勝ち方だったな…、と感じたのです。

渡邉彩香選手も昨年、リオ・オリンピック日本代表まで

あと一歩まで迫っていて残念ながら逃してしまったのですが、

(昨年の)アメリカ・カリフォルニア州サンマーティン、

コルデバレーGCで行われた全米女子オープン最終日の最終18番ホールで、

まだ19番ホールまであって、この18番ホールも(通過点で)

スコアメイクしないとと考えたら、

彼女はどういうゴルフをしていたのでしょうか?

 

渡邉彩香選手は『私のメンタルの教科書は本田健さん』と

以前、語っていましたが、

本田健さんだけでは補えない部分も

あるのではないでしょうか?

たとえば試合の勝ち方とか…。

私はそう考えているのです。

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